『有田と週刊プロレスと』プロレスとは人生、初心者でも笑いながら日本マット界の歴史が学べる

有田と週刊プロレスと Amazonプライム・ビデオ

いま、再びプロレスが熱い!

2000年代の格闘技ブームに押され業績が低迷。全日本プロレスやプロレスリングノアの地上波放送はなくなり、全国ネットの地上波では新日本プロレスのワールドプロレスリングを残すのみとなりました。それも遅い時間に追いやられ、放送時間も短縮されるなど不遇の時代を我々は過ごしてきました。

しかし、ここ数年で再びプロレスが盛り上がりの兆しを見せています。新日本プロレスはブシロードが親会社になってから、従来のコアなプロレスファンだけではなく、新規ライト層にも届く分かりやすい展開と華々しい演出で支持を集めました。

20年ぶりに史上最高売り上げを更新した様子が『FLASH (フラッシュ) 2018年 10/2 号』で特集されています。

ここから、さらにプロレス界を盛り上げていく、新規ファンを取り込んでいくためにぜひ布教したい番組がAmazonプライム・ビデオにあります。

くりぃむしちゅー有田哲平と倉持明日香の『有田と週刊プロレスと』です。

地上波よりもプロレスの歴史や人間ドラマに注力

長州力や高田延彦、天龍源一郎のモノマネを持ちネタにし、アメトーク!のプロレス大好き芸人にも連続出場している有田は、芸能界を代表するプロレスオタクのひとりでしょう。

その彼がプロレスをまだ見たことない人も意識しながら、毎週その場で手渡された『週刊プロレス』と自分の記憶だけを頼りに、昭和から現代までのプロレスを30分ひたすら語り尽くす番組です。

アメトーク!のプロレス特集は地上波での分かりやすさを重視して、ちょっと笑いの要素を多めに取り入れながら、バラエティ番組としての体裁を整えています。そのため鈴木みのるに「キャラいじりが過ぎる」と苦言を呈されたこともありました。

それに対して『有田と週刊プロレス』とは、バラエティの要素も確かにあります。長州や天龍の滑舌が悪いものまねは出てきますし、北尾のデビュー戦は終始笑いの連続です。ジャイアント馬場 VS ラジャ・ライオンまで掘り返してきます

ジャイアント馬場唯一の異種格闘技戦と振れこまれた試合ですが、相手のラジャ・ライオンはパキスタンの空手チャンピオンを名乗りながら、身長こそ馬場より高いもののヒョロッとしていて強そうな感じがなく、動きも素人感が丸出し、自分で放った蹴りでバランスを崩し負傷してしまいます。

そういうキャッチーさも取り入れながら、主筋は日本プロレス界の歴史を初心者でも分かるように振り返ること、そこから人間ドラマに焦点を当て、人生に役立つ教訓を得ようとします。

共演者のバランスもいい

有田がプロレス詳しいのは有名ですが、アシスタントを務める倉持もプロレスファンで、特に大日本プロレスへの造詣が深いです。笑いながら「流血デスマッチが大好き」と言い出します。

デスマッチとか痛いの嫌いという有田が少し引く場面もありますし、第3シーズンでできた倉持から有田へクイズを出すコーナーでは、大日本プロレスとデスマッチの話ばかりして有田がタジタジになる回もありました。

このふたりに加えて毎回ゲストがスタジオへ来るんですが、特にオススメなのはチュートリアル福田がゲストの回ですね。昔はプロレスを見ていたという福田のプロレス知識と立ち位置が絶妙。

まったく知らないわけではないから要所で的確なツッコミ入れつつ有田の話に乗ってきますし、かと言って「プロレスちょっと知ってますよ」みたいな顔してしゃしゃり出てくるわけでもなく、うまく有田を活かすサイドメニューになってます。

プロレス界の暗い事件も語る

シーズン1、シーズン2、そして現在放送中のシーズン3から、今回は『シーズン1 第7話 敵はまさかの「週刊プロレス」!?天龍、全日離脱事件!』をピックアップしてみたいと思います。

No.007 敵はまさかの「週刊プロレス」!?天龍、全日離脱事件!

No.007 敵はまさかの「週刊プロレス」!?天龍、全日離脱事件!

Posted at 2018.9.28

  • 上田暁子, 島田勇夫, 久保浩章, 福田充徳

このタイトルを見ただけでプロレスファンは察すると思うんですが、メガネスーパーとSWSに関する話です。

事件が起きたのは1990年。安売り眼鏡で業績好調だったメガネスーパーが、潤沢な資金を持ってプロレス界に参入してきました。新日本プロレス、全日本プロレスの2トップに対抗する第三極を作り業界を盛り上げようとしたんですが、短期間でそれを実現するため他団体の主力級を引き抜いたことが波紋を呼びます。

特に大きかったのが全日本プロレスから天龍を引き抜いたこと。これにより馬場と近い関係に合った当時の『週刊プロレス』編集長・ターザン山本が、誌面で数年にわたるSWSバッシングを繰り返すようになります。

プロレス界のオピニオンリーダーだった週プロが反SWSに動いたことで、ファンの心理もそちらに傾き「金目的な汚い連中」という目で見られてしまいます。そのためSWSは短命に終わりメガネスーパーもプロレス界から完全撤退してしまったのです。

このネガティブキャンペーンですが、ターザン山本が後に出版した『「金権編集長」 ザンゲ録』では、全日本プロレスと馬場から金をもらっていたと衝撃的なことが書いてあります。

「メディアは金をもらえば対立組織のネガキャンやる」と暴露してるわけです。そこまでして稼いだ金の使い途がギャンブルって本当に駄目人間。

ただ、放送で見せた有田の解説はだいぶ天龍寄りになっていて、実際はSWS内部でも揉め事が絶えませんでした。

SWSには団体に所属するレスラーを軍団に分けて、相撲のような部屋別制を取り入れながら、各部屋の対抗戦で興行を行っていく構想がありました。

プロレスで盛り上がるのは抗争アングル、各軍団の対抗戦だったりライバル意識ですから、それを前面に押し出していくのは画期的だし合理性もありました。しかしながら、いかんせんそういうことをすると派閥が生まれ、団体としてまとまりが欠けたのは否めません。

また、団体として天龍をエースにしたい思いが強く、マッチメーク権も天龍派にありました。そうなってくると他派閥のレスラーからしたら「おいおい。話が違うんじゃないの」となってきます。

自分たちは所属団体を飛び出し、立ち上がったばかりの団体、まっさらなリングで新しいプロレスを見せようと集まったのに、そこの扱いは対等じゃないの? うちのエースは天龍だから、みんなで天龍を盛り立てていきましょう? 冗談じゃないよ!

そして、派閥争いで団体内部がゴタゴタしてるところへの週プロ砲です。

プロレスから学べる人生の教訓とは?

様々な要因が絡んでメガネスーパーを追い出したあと、プロレスは最初に書いたとおり厳しい時代がきます。大きな会場でやっても席が埋まらず、地方の小さい会場でタイトルマッチやるみたいなのが何年も続きます。

業界内部に金がないのなら外から持ってくるしかありませんが、メガネスーパーの一件で異分子を排除するプロレス村の排他性を目の当たりにしては、誰も手を挙げたがりません。経営判断として当時のプロレスに金を出しても、十分なリターンが見込めない試算もあったとは思いますが。

プロレスや格闘技関連のゲームを作っていたユークスが2005年に新日本プロレスを買収し、コツコツ逆風のなかを耐えながらプロレスの火を絶やさず燃やし続け、2012年に団体を買い取ったブシロードが多方面へのメディア戦略を仕掛けやっと再びプロレスが盛り上がってきました。

90年代後半~2000年代初頭の格闘技ブームから起算して、約20年目でのプロレス再興です。

そうした歴史を踏まえて、この回の人生に役立つ教訓は金持ちとケンカするなです。

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チュートリアル福田も思わず「そこっ?!」とツッコむまとめですが、好意で助けてくれる人を邪険にするなということですね。